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日ごとの聖書

ショートメッセージ 〜2023年11月21日〜30日

11月 21出エジプト記311215
 六日の間は仕事をすることができるが、七日目は、主の聖なる、最も厳かな安息日である。だれでも安息日に仕事をする者は必ず死刑に処せられる。
(出エジプト記31章15節)
十戒の中にあった「安息日」について、神さまは改めて命じます。20章8節以下には「どのような仕事もしてはならない。あなたも、息子も娘も、男女の奴隷も、家畜も、町の中にいるあなたの寄留者も同様である」と書かれていました。
そこでは、奴隷も家畜も労働から離れることができる日があるということを、神さまの恵みとして感じることができました。しかし今回の記述では、「必ず死ななければならない」という言葉が強く響きます。
イエス様の時代のファリサイ派や律法学者も、この「禁止」という側面を強く意識して民を指導していたようです。もともと「恵み」の律法が、「拘束する」ものに変わっていくのです。教会の教えの中にも、そのように変質してしまったものはないでしょうか。
11月 22出エジプト記311618
 主はシナイ山でモーセと語り終えられたとき、二枚の掟の板、すなわち、神の指で記された石の板をモーセにお授けになった。
(出エジプト記31章18節)
神さまは20章から語り続けて来られた掟を、2枚の板に書き記してモーセに授けました。ここに何が書かれたのでしょうか。最初の十戒だけでしょうか。それとも米粒に書かれた文字のような小さな字で、すべての掟が書かれたのでしょうか。
様々な絵画を見ると、最初の十戒だけが記されたと考えられてきたようです。また十戒も、最初の5つは1枚目、後半の5つは2枚目に書かれたというように、考えられてもきました。
ここで覚えておきたいのは、「神の指で記された」という事実です。どういう感じで書かれたのかは分かりませんが、「神さまが直接記された」ということが重要です。神さまはモーセに、ご自分の思いを手渡されたのです。
11月 23出エジプト記3216
 彼はそれを受け取ると、のみで型を作り、若い雄牛の鋳像を造った。すると彼らは、「イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々だ」と言った。
(出エジプト記32章4節)
モーセがヨシュアと共に山に登って、かなりの時間が経ちました。残されたアロンと民は不安になっていきます。モーセに何かあったのか、あるいはモーセが自分たちを見捨ててしまったのか、考えてしまったのでしょう。
そこでアロンは民の求めに応じて、金の子牛の鋳像を造ります。神さまが十戒で禁止したのは彫像(彫った像)だから鋳像はOKなのだという人もいますが、後の神さまの怒りを見る限り、そうではなかったようです。
しかも彼らは子牛の鋳像を見て、「イスラエルよ、これがあなたの神だ」と言います。完全に偶像を崇拝しているのです。「明日は主の祭りである」とアロンは告げますが、一体どの神さまが対象なのでしょうか。
11月 24出エジプト記32714
 どうしてエジプト人に、『あの神は、悪意をもって彼らを山で殺し、地上から滅ぼし尽くすために導き出した』と言わせてよいでしょうか。どうか、燃える怒りをやめ、御自分の民にくだす災いを思い直してください。
(出エジプト記32章12節)
アロンとイスラエルの民が金の子牛を造ったことは、神さまの怒りを買いました。それはそうだと思います。エジプトで10の災いをおこし、昼は雲の柱、夜は火の柱で導き、エジプトの戦車隊は葦の海に沈めたのに、その手柄を金の子牛に奪われるとは。
ただ神さまは、その怒りのままに民を滅ぼす前に、モーセにそのことを告げました。神さまと契約したのはイスラエルの民であって、モーセとの個人契約ではありませんでした。モーセもイスラエルの一員として、事の重大さを知る必要がありました。
モーセはここで、神さまに食い下がります。「口下手」だったモーセが、「私を止めてはならない」と語る神さまに対して反論したのです。これは、執り成しとも言えるでしょう。その結果、神さまは災いを思い直されました。
11月 25出エジプト記321524
 わたしが彼らに、『だれでも金を持っている者は、それをはずしなさい』と言うと、彼らはわたしに差し出しました。わたしがそれを火に投げ入れると、この若い雄牛ができたのです。
(出エジプト記32章24節)
モーセとヨシュアが山から下りてくると、民の歌声が聞こえてきます。そして宿営に近づくと、金の子牛の像とその周りで踊る民の姿がモーセの目に入ります。モーセは怒り、次の行動を起こします。
まず神さまから頂いた二枚の掟の石板を投げつけ、山の麓で打ち砕きました。それほど見境なく怒ったということでしょう。そして金の子牛を火に投げ入れ、粉々にして水の上にまき、民に飲ませたということです。
モーセはアロンを叱責します。しかしアロンは民の悪意を強調し、また金を火に投げ入れたら子牛になって出てきたと言い訳します。けれども32章の最初から読んでいる読者は、アロンの罪を良く知っています。
11月 26出エジプト記322529
 レビの子らは、モーセの命じたとおりに行った。その日、民のうちで倒れた者はおよそ三千人であった。
(出エジプト記32章28節)
モーセのアロンとイスラエルの民に対する怒りは、静まりません。モーセの怒りの中には、「敵対する者の嘲りの的になった」ということも含まれます。それはモーセの神ヤハウェが馬鹿にされているのと一緒です。
モーセは神さまに付く者を集めます。するとレビ人がモーセの元にやって来ました。彼らは祭司職の家系です。彼らは剣を取り、自分の兄弟、友人、隣人を殺せという命令に従います。彼らがその日殺害したのは、3000人にも上りました。
3000人というと、大変な数です。それだけの同胞を殺すことで、彼らレビ人は祝福を得ることになります。しかし彼らも、金の子牛事件のときは一緒にいたはずです。その罪は問われないのでしょうか。
11月 27出エジプト記323035
 今、もしもあなたが彼らの罪をお赦しくださるのであれば……。もし、それがかなわなければ、どうかこのわたしをあなたが書き記された書の中から消し去ってください。
(出エジプト記32章32節)
モーセはイスラエルの民の罪の贖いのために、神さまの元に登っていきます。彼らの罪が赦されないのならば、自分の名前がいわゆる「命の書」から消されても構わないという強い決意がモーセにはありました。
神さまは、裁きの日に彼らの罪を罰すると告げます。そして同時に、神さまは民を打ちます。それがどれくらいの数なのかは書かれていません。「罪を犯した」というくくりで言えば、相当な数になりそうです。
一つ気になるのは、アロンが罰せられていないところです。普通に考えれば、金の子牛を造ったときの民のリーダーはアロンです。しかし神さまはアロンを打っていません。それはなぜなのでしょうか。
11月 28出エジプト記3316
 民はこの悪い知らせを聞いて嘆き悲しみ、一人も飾りを身に着けなかった。
(出エジプト記33章4節)
金の子牛の事件は、尾を引きます。神さまは「約束の地」に行くように促すとともに、「わたしはあなたの間にいて一緒に上ることはない」と明言されました。民の間から離れるということです。
昼は雲の柱、夜は火の柱として民を導いてきた神さまですが、「一緒にいるといつあなたがたを滅ぼしてしまうかわからない」というのがその理由です。お互いケンカが絶えないので、ちょっと距離を取りましょうという感じでしょうか。
人々は自分たちの行動が原因とはいえ、この神さまの判断にはショックを覚えていたことでしょう。これが何を意味するのかはわかりませんが、彼らは身に着けていた飾りを外しました。しかしもしかしたら、すぐに怒る神さまが離れてくれて、ホッとした人もいるかも。
11月 29出エジプト記33711
 主は人がその友と語るように、顔と顔を合わせてモーセに語られた。モーセは宿営に戻ったが、彼の従者である若者、ヌンの子ヨシュアは幕屋から離れなかった。
(出エジプト記33章11節)
昨日の箇所で、「わたしはあなたの間にいて一緒に上ることはない」と宣言された神さまですが、モーセと語る場所は設けました。それが臨在の幕屋(新しい聖書では「会見の幕屋」)です。
モーセが天幕に入ると、雲の柱が降りて来て天幕の入り口に立ちます。それが神さまが天幕に入られたしるしとなりました。人々はその出来事によって、どれだけの安心感を得ることができたことでしょう。
モーセと神さまは、顔と顔を合わせて語り合ったそうです。当時、神さまの顔を見ると死ぬ、とされていました。その中でのこの描写は、モーセがかなり特別な預言者であったことを示しています。
11月 30出エジプト記331216
 お願いです。もしあなたがわたしに御好意を示してくださるのでしたら、どうか今、あなたの道をお示しください。そうすれば、わたしはどのようにして、あなたがわたしに御好意を示してくださるか知りうるでしょう。どうか、この国民があなたの民であることも目にお留めください。
(出エジプト記33章13節)
モーセの不安は、33章2節に書かれている「私はあなたに先立って使いを差し向け」という神さまの言葉が本当なのかどうか、ということのようです。
モーセにはその「使い」について知らされておらず、どうやって示された道を歩んで良いのかわかりませんでした。イスラエルの民を預かっている立場から、モーセは神さまに語ります。
その内容は、「食ってかかっている」と捉えられても仕方のないものです。しかし神さまはその訴えに丁寧に耳を傾けているようです。「旧約の神」の認識が、少し変わってきます。

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