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日ごとの聖書

ショートメッセージ ~2023年10月21日~31日

10月 21出エジプト記241214
 長老たちに言った。「わたしたちがあなたたちのもとに帰って来るまで、ここにとどまっていなさい。見よ、アロンとフルとがあなたたちと共にいる。何か訴えのある者は、彼らのところに行きなさい。」
(出エジプト記24章14節)
神さまはモーセに山に登るように伝えます。そしてそのときに、律法と戒めを書き記した石の板をモーセに授けると約束されました。これは、神さまが直接石の板に掟を書かれるということを示します。
神の山に登ったのは、モーセと従者ヨシュアでした。ヨシュアはモーセの死後、イスラエルの人々を導いていく人物です。このときからすでに、重要な場面に彼は立ち会っています。
しかしアロンとフルは、山に登らずに民の元に残りました。アロンはこれまで、モーセと共に行動していました。モーセが神さまと語り、その内容をアロンが告げることが多かったのです。しかしここでモーセと離れたアロンは、後に大変な失態を犯すことになります。
10月 22出エジプト記241518
 モーセは雲の中に入って行き、山に登った。モーセは四十日四十夜山にいた。
(出エジプト記24章18節)
モーセは従者ヨシュアだけを従えて、山に登りました。雲が山を覆い、その状態が6日間続いたそうです。そして7日目、神さまが雲の中からモーセに呼びかけます。この6日と7日目という日数は、天地創造の場面を思い起こさせます。
7日目に神さまから呼ばれ、モーセは雲の中に入っていきます。アロンや民には、その姿は見えなくなってしまったことでしょう。モーセはそのまま40日40夜、山にこもった状態になったようです。
40という数字は、聖書によく登場します。イスラエルの人々が荒れ野をさまよったのは40年、イエス様が荒れ野で誘惑を受けたのは40日間。その長い期間モーセは山に滞在し、神さまから25章以下の指示を受けていきます。
10月 23出エジプト記2519
 わたしが示す作り方に正しく従って、幕屋とそのすべての祭具を作りなさい。
(出エジプト記25章9節)
最初に神さまがなさったのは、「幕屋建設の指示」です。幕屋や祭具の型を、示された通りに作りなさいということです。エジプトからあわてて逃げてきたイスラエルの人々が、果たしてそのようなものを作ることができるのかという疑問も起こります。
また放浪している途中ではなく、「約束の地」にしっかりと根をおろした時でもいいじゃないかという気もします。しかしここで何よりも大切にしているのは、「神の臨在の場を設ける」ということではないでしょうか。
神さまの導きによって自分たちは生かされている。神さまが共にいてくれるから歩んでいける。そのことを知るために、幕屋は必要だったのでしょう。そのために神さまは、「心から進んで献げる献納物」を民から受け取るよう、モーセに指示します。
10月 24出エジプト記251022
 この贖いの座を箱の上に置いて蓋とし、その箱にわたしが与える掟の板を納める。
(出エジプト記25章21節)
次に神さまは、「箱」を作るように命じます。ただしこの箱はただの箱ではなくて、神さまから与えられる掟の板(新しい聖書では「証しの板」)を入れるための、いわゆる「契約の箱」です。
昔、インディージョーンズシリーズの映画「レイダース失われたアーク(聖櫃)」というものがありました。不思議な力を持つアークを探すというものでしたが、そのアークがここで作られる「契約の箱」です。
1アンマはひじから中指の先までの長さで、約45cmです。ですからこの箱は長さ112.5 cm、幅と高さは67.5 cmほどです。さらにその上に贖いの座を純金で作って置きます。金のケルビムもつけられたこの一式のものは、とても重かったに違いありません。
10月 25出エジプト記252330
 皿、柄杓、小瓶、水差しを作り、ぶどう酒の献げ物をささげるのに用いる。これらは、純金で作る。
(出エジプト記25章29節)
たまにお寺に入ったときに、きらびやかな柱や調度品を目にすることがあります。「豪華だなぁ」と感心することも多いのですが、昨日今日の記述を見る限り、聖書の世界も負けてはいないようです。(そういえば聖餐式で使う聖具はキラキラしています)
ここで作られる机(新しい聖書では「台」)は、供え物のための物です。キリスト教には「お供え」という習慣はあまり見られませんが、神さまは自分のために常にパンを備えるように命じます。
サムエル記上21章に、サウルから逃れるダビデが「供えのパン」を食べるという物語が出てきますが、それはこのように献げられていたものです。様々な宗教には、共通点が多く見られます。
10月 26出エジプト記253140
 純金で燭台を作りなさい。燭台は打ち出し作りとし、台座と支柱、萼と節と花弁は一体でなければならない。
(出エジプト記25章31節)
安室奈美恵さんの容姿をマネする人たちを、「アムラー」と呼んでいました。ここに出てくる燭台は、「メノラー」と呼ばれるものです。「メノラー」で検索すると、高級ホテルやドラマなどで見たことのある燭台の写真がたくさん出てきます。
設計図のようなものを渡せば、もっと簡単に、そして間違いなく作れると思います。これらの要求をずっと守り続けてきた、イスラエルの人たちの伝承を守る力にも頭が下がります。ちなみに1キカルは約34.2kgです。結構ずっしりときます。
この燭台も、金がふんだんに使われています。一番高価なものを、神さまのために用いるということなのでしょう。ただこれが行き過ぎると、宗教者の元にばかり高価な物が集まってしまうことになるかもしれません。気をつけたいものです。
10月 27出エジプト記2616
 次に、幕屋を覆う十枚の幕を織りなさい。亜麻のより糸、青、紫、緋色の糸を使って意匠家の描いたケルビムの模様を織り上げなさい。
(出エジプト記26章1節)
次に神さまは、幕屋を覆う幕を織らせます。1アンマは約45cmですので、長さ12.6m、幅1.8mの巨大な布を10枚用意することになります。5枚ずつつづり合わせるので、9m×12.6mのサイズのものが2枚できるようになります。
ネットで見ると、12.6×1.8のサイズの紅白の垂れ幕が販売されていました。これが宗教的な標準サイズなのでしょうか。神さまはさらにここに、意匠を凝らしてケルビムを織り出すように命じます。
ケルビムは3日前の箇所にも出てきました。アダムとエバが楽園を追い出されたときに、園の入り口に見張り役として置かれたものです。顔は人間で胴体はライオン、そして背中には翼もあるそうです。スフィンクスと何だか似ています。
10月 28出エジプト記26714
 最後に、赤く染めた雄羊の毛皮で天幕の覆いを作り、更にその上をじゅごんの皮の覆いでおおう。
(出エジプト記26章14節)
昔、この幕屋と天幕のミニチュアを作ってみようと思ったことがありました。聖書の記述が身近になるかもしれないと思ったからです。しかしすぐに諦めました。大量の輪が出てくるので、面倒くさくなったからです。
彼らがいた場所は雨が少なく、山羊の毛で作られた天幕でも大丈夫でした。昨日の幕のサイズよりも一回り大きく作ります。前後に1アンマずつ垂らすためです。結構綿密に計算されています。
幕屋と天幕を布で作るのは、移動ができるからです。新約聖書には「仮小屋」という言葉が出てきますが、そのイメージだと言えます。ただ仮の小屋であったとしても、神さまが臨在される場所なので丁寧に作らせたということでしょう。
10月 29出エジプト記261530
 こうして、山で示された方式に従って幕屋を造りなさい。
(出エジプト記26章30節)
次に幕屋の骨組みとして、壁板を作っていきます。つなぎ目にはほぞ(ジグソーパズルの突起のようなもの)を使い、板と板をつなぎ合わせます。日本でも木造建築でよく使われる手法です。
昔神学生のころ、聖書内容試験(バイコン)というものを受けなければいけませんでした。今週は創世記、次の週は出エジプト記と毎週テストがありました。今日のような箇所が問題に出されたら、はっきり言ってアウトでした。
ただここでもよく見ると、何度も壊して組み立てられる仕様になっていることに気づかされます。横木も打ち付けるのではなく輪を通すようにし、いつでも元に戻せるようになっているのです。教会もこのように持ち運びができると、便利かもしれませんね。
10月 30出エジプト記263135
 その垂れ幕は留め金の下に掛け、その垂れ幕の奥に掟の箱を置く。この垂れ幕はあなたたちに対して聖所と至聖所とを分けるものとなる。
(出エジプト記26章33節)
奈良基督教会の現在の礼拝堂は、1930年に建てられました。外観は和風ですが、キリスト教の建築様式が至る所に見られます。会衆席から1段(3つの階段)上がった所に聖所、さらに1段(3つの階段)上がった所に至聖所が作られています。
聖所と至聖所の間には、手すりがあります。これはコミュニオンレールといって、聖公会ではそこで会衆が陪餐に与っていました。ただし現在は階段が多いので、会衆席の前方で立ったまま陪餐に与ることが多くなっていますが。
正教会ではそこには幕が張られ、中で何をしているのかが分からなくなっています。その幕が、今日の箇所にある「垂れ幕」です。この垂れ幕は、イエス様が十字架上で息を引き取られたとき、上から下まで真っ二つに裂けました。
10月 31出エジプト記263637
 次に、天幕の入り口に掛ける幕を作る。青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使ってつづれ織を作りなさい。
(出エジプト記26章36節)
ようやく、幕屋作りの指示が終わります。柱や壁板に使われているアカシア材は、腐りにくく耐久性にも優れているものだそうです。現在もDIYをする人には人気だそうですので、教会の椅子などを作るときには用いても良いかもしれません。
天幕の入り口がただの空間だったら、やはりまずいのでしょうか。入りやすさはあまり重視していないのでしょう。それよりも彩り豊かな刺繡を施すことで、「他とは違った空間」という印象を与えているようです。
神さまはこのように、幕屋建設を命じられました。しかしそれは、「わたしのために別荘を作れ」というようなものではなく、「あなたたちと共にいるしるし」を与えてくれたものだと思います。

バナースペース

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牧師:司祭マタイ古本靖久
副牧師:司祭エレナ古本みさ