6月 21日「創世記42:29〜38」 | ||||
それから、彼らが袋を開けてみると、めいめいの袋の中にもそれぞれ自分の銀の包みが入っていた。彼らも父も、銀の包みを見て恐ろしくなった。 (創世記42章35節) |
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シメオンをエジプトに残し、9人の兄弟は父ヤコブの元に帰ります。シメオンは次男でしたが、長男ルベンを置いて行くわけにはいかなかったのでしょう。ルベンはそもそも、ヨセフの殺害には反対していました。 | ||||
彼らは自分たちの身に起こったことを、ヤコブに報告します。回し者だと疑われたこと。一番下の弟ベニヤミンを連れてくるように言われたこと。戻ってくるまでシメオンが捕らえられたこと。そして彼らのそれぞれの袋には、自分の銀の包みが戻されていました。 | ||||
彼らは、とても気味悪がりました。しかしエジプトに残してきたシメオンが心配です。兄弟たちはベニヤミンを連れて、もう一度エジプトに行かせて欲しいとヤコブに願います。しかしヤコブは拒みます。シメオンがかわいそうです。 | ||||
6月 22日「創世記43:1〜7」 | ||||
しかし、一緒に行かせてくださらないのなら、行くわけにはいきません。『弟が一緒でないかぎり、わたしの顔を見ることは許さぬ』と、あの人が我々に言ったのですから。」 (創世記43章5節) |
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カナンの地に住むイスラエル(ヤコブ)と息子たちは、エジプトで買った穀物を食べつくしてしまいました。飢饉は7年間続くのですが、彼らはその事実を知らなかったのでしょう。(後の箇所から、この頃は飢饉の2年目だということがわかります。) | ||||
父は「もう一度エジプトに行き、穀物を買うように」と息子たちに命じます。しかしそのためには、ベニヤミンをエジプトまで一緒に連れて行く必要があることを、息子たちは父に伝えます。 | ||||
なぜベニヤミンのことをエジプトの責任者が知っているのかというと、その責任者が根掘り葉掘り聞いたからです。「父は生きているか」、「他に弟はいるのか」。この質問を聞いたときに、エジプトの責任者がヨセフであることに気づくことはできなかったのでしょうか。 | ||||
6月 23日「創世記43:8〜14」 | ||||
どうか、全能の神がその人の前でお前たちに憐れみを施し、もう一人の兄弟と、このベニヤミンを返してくださいますように。このわたしがどうしても子供を失わねばならないのなら、失ってもよい。 (創世記43章14節) |
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ユダはイスラエル(ヤコブ)に対し、もしベニヤミンが戻ってこられなかったならば、自分がその罪を負い続けると誓いました。その熱い思いに押されたのか、イスラエルは息子たちがベニヤミンを連れてエジプトに行くことをようやく承諾します。 | ||||
彼は地域の特産品に加え、穀物の購入代金の倍の銀を持たせます。前回支払ったはずの銀が、袋の中に返っていたからです。 | ||||
イスラエルは最後に祈ります。そこには二人の息子を返して欲しいという願いと共に、「子どもを失わなければならないなら失ってもよい」という祈りも加えられています。「神さまのみ心を受け入れます」ということなのでしょう。 | ||||
6月 24日「創世記43:15〜25」 | ||||
彼らは贈り物を調えて、昼にヨセフが帰宅するのを待った。一緒に食事をすることになっていると聞いたからである。 (創世記43章25節) |
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エジプトについた兄弟たちを、ヨセフは自分の屋敷に招きます。ヨセフは執事に昼の食事の用意をするように伝えますが、兄弟たちは最初そのことを知りません。前回の訪問のときの恐ろしい記憶が、彼らの脳裏にフラッシュバックしたかもしれません。 | ||||
彼らは執事に、自分たちが困惑していることを伝えます。それは前回支払ったはずの銀が、いつの間にか戻されていたことです。彼らは自分たちが代金を支払わずに穀物を持ち帰ったと疑われているのではないか、そう思っていたでしょう。 | ||||
しかし執事は「心配いりません」と優しく伝え、一同をヨセフの屋敷に入れ、水を与えて足を洗わせ、ろばにも餌を与えました。このような優しさが、一番不気味だと感じるのはわたしだけでしょうか。 | ||||
6月 25日「創世記43:26〜34」 | ||||
兄弟たちは、いちばん上の兄から末の弟まで、ヨセフに向かって年齢順に座らされたので、驚いて互いに顔を見合わせた。 (創世記43章33節) |
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帰宅したヨセフは、兄弟たちの前に立ちました。そして父の安否を尋ね、ベニヤミンと再会したところで、彼はたまらず席を外しました。そして彼は胸がいっぱいになり、隣の部屋で泣きました。 | ||||
なぜこのときに、ヨセフは自分の身を明かさなかったのでしょう。兄弟たちに自分と同じような苦しみを、少しでも多く経験させたいと思ったのでしょうか。しかしヨセフは食事の席で、兄弟たちに自分の身許がわかるようなヒントを与えます。 | ||||
一つは、兄弟たちを年齢順に座らせるということです。11人もいるわけですから、その並び方は399万通り以上(多分)あります。偶然ではありえないことをしているヨセフを、兄弟たちはもう少し丁寧に観察したらよかったのですが。 | ||||
6月 26日「創世記44:1〜10」 | ||||
僕どもの中のだれからでも杯が見つかれば、その者は死罪に、ほかのわたしどもも皆、御主人様の奴隷になります。 (創世記44章9節) |
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昼の食事をヨセフと共にした兄弟たちは、そのまま一泊したようです。かなり長時間の宴席で、兄弟たちはエジプトの責任者に気に入られたのだと思ったかもしれません。ところがヨセフは、さらに罠を仕掛けます。 | ||||
ヨセフは執事に兄弟たちの穀物の袋に銀を戻し、さらにベニヤミンの袋には銀の杯を入れるように指示します。なぜこのような手の込んだことをするのでしょうか。それは後ほどわかっていきます。 | ||||
ヨセフは執事に命じて、兄弟たちを追いかけます。そして兄弟たちに、銀の杯が無くなったことを告げます。当然兄弟たちには、心当たりはありません。しかし前回穀物を購入したときに袋に銀が戻されていたことを考えると、出発前に袋を調べるべきだったでしょう。 | ||||
6月 27日「創世記44:11〜17」 | ||||
執事が年上の者から念入りに調べ始め、いちばん最後に年下の者になったとき、ベニヤミンの袋の中から杯が見つかった。 (創世記44章12節) |
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兄弟たちは、それぞれ自分の袋を開けました。ヨセフの家の管理者が年上から順に中を確認していったとき、ベニヤミンはどのような心境だったでしょう。袋を開けた瞬間、あってはならないものを見つけてしまったのです。 | ||||
兄弟たちは、杯を盗んだものは死罪に、他の者は奴隷になりますと言っていました。しかし家の管理者は、杯を盗んだものだけが奴隷になり、他の者は父の元に帰っていいと言います。そして杯が見つかったとき、兄弟たちは「全員が奴隷になる」と言い換えました。 | ||||
もしベニヤミン以外の袋から杯が見つかっていたなら、兄弟たちはその一人を残して父の元に戻っていたかもしれません。「ベニヤミンを父の元に戻すこと」が彼らにとって、最重要課題だったからです。 | ||||
6月 28日「創世記44:18〜34」 | ||||
ユダはヨセフの前に進み出て言った。「ああ、御主君様。何とぞお怒りにならず、僕の申し上げますことに耳を傾けてください。あなたはファラオに等しいお方でいらっしゃいますから。 (創世記44章18節) |
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「杯を盗んだベニヤミンを残して、他の者は父の元に帰るがよい」、そう言われても兄弟たちは帰ろうとはしませんでした。そして兄弟の一人、ユダがヨセフに対して嘆願します。ユダはエジプトにベニヤミンを連れてくる際、ヤコブに約束をした人でした。 | ||||
ユダはヤコブとレアの4番目の子どもでした。彼はヨセフにこのように願い出ます。自分をベニヤミンの代わりに奴隷にして欲しい。そしてベニヤミンを父ヤコブの元に戻して欲しいと。 | ||||
昔、兄たちに売り飛ばされたヨセフ。けれども今、ユダの口から、自分を犠牲にしていいから弟を救って欲しいという願いが聞かれます。ヨセフはこの言葉を、どのように受け止めたのでしょうか。 | ||||
6月 29日「創世記45:1〜8」 | ||||
しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。 (創世記45章5節) |
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ヨセフはユダの嘆願を聞き、自分を抑えきれなくなりました。そして自分の周りにいた人(執事たち)を外に出し、ついに兄弟たちに身を明かします。突然声を上げて泣き出したヨセフを、兄弟たちはどのような目で見たのでしょうか。 | ||||
ヨセフは自分の名を告げた後、「お父さんはまだ生きておられますか」と問います。エジプトの責任者として社交辞令のように聞いた前回の問いとは違い、今回は家族として親身に尋ねています。 | ||||
そしてヨセフは、すべてのことは神さまのご計画であると断言します。夢によって兄たちに疎まれ、エジプトに売られたこと。夢によってファラオに取り立てられ、エジプトの責任者となったこと。そして今、ついにヨセフと兄弟は再開したのです。 | ||||
6月 30日「創世記45:9〜15」 | ||||
さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのです。 (創世記45章12節) |
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ヨセフはすべての出来事が、神さまの導きによるものだと感じました。もし自分がエジプトに売られていなかったら、7年間の飢饉に耐えることはできなかったでしょう。エジプトもそうです。ヨセフの夢の解き明かしがなければ、穀物を貯えることもなかったでしょう。 | ||||
すべてのことが神さまのみ心だという確信を得て、ヨセフは家族をゴシェンという下エジプトの一地方に招くことを提案します。あと飢饉は5年続きます。その期間困らないために、家族みんなで来たらいいと招くのです。 | ||||
兄弟たちはヨセフに合えたこと、そして苦しい生活から抜け出せそうだということ、その二つの喜びを同時に得ました。つい先ほどまでベニヤミンが奴隷になるかどうかの窮地だったのですが、あっという間に喜びへと変わっていったのです。 |