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日ごとの聖書

ショートメッセージ 〜2023年6月11日〜20日

6月 11「創世記401619
 三日たてば、ファラオがあなたの頭を上げて切り離し、あなたを木にかけます。そして、鳥があなたの肉をついばみます。
(創世記40章19節)
料理役の長は給仕役の長が、「元の職に戻ることができる」とヨセフに言われているのを聞きました。彼はきっと大きな期待を抱きながら、ヨセフに自分が見た夢を説明したのではなかったでしょうか。
しかしヨセフの夢の解き明かしは、残酷なものでした。ファラオはきっとあなたを処刑するだろうと、ヨセフは伝えたのです。料理役の長はどのような気持ちで、ヨセフの言葉を聞いていたでしょうか。
三日後に処刑されることを直接伝えることは、正しいことだったのでしょうか。夢の解き明かしは神さまからのメッセージなので、それを伝えることは大事です。しかし死へのカウントダウンまで正直に話すヨセフには、何か冷たい印象を感じます。
6月 12創世記402023
 ところが、給仕役の長はヨセフのことを思い出さず、忘れてしまった。
(創世記40章23節)
ヨセフの夢の解き明かしは正しかったようです。給仕役の長は元の仕事に戻ることができました。そして料理役の長は処刑されてしまいました。どちらもヨセフが言ったとおりの結果となりました。
料理役の長を助けることはできなかったのだろうか、ファラオにそのような進言をすることはできなかったのだろうか。そのように考えてしまいますが、聖書の興味はそこではありませんでした。
「ヨセフが夢を解き明かすことができることを、給仕役の長が知った」ということが大事なのです。そしてこの出来事が、今後のヨセフ、そしてイスラエルの運命を左右することになります。ただし今回は、給仕役の長は自分のことで精一杯で、ヨセフのことは忘れてしまいます。
6月 13創世記4118
 そして、醜い、やせ細った雌牛が、つややかな、よく肥えた七頭の雌牛を食い尽くした。ファラオは、そこで目が覚めた。
(創世記41章4節)
ヨセフが給仕役の長の夢を解き明かしてから、2年が経ちました。この2年の間、ヨセフは何を考えていたのでしょうか。給仕役の長はいつになったら自分を助けに来るのだろうか、そんな思いもあったかもしれません。
神さまがそばにいてくださるという思いから、それでもいつかきっと牢を出ることができると思っていたかもしれません。そのような中、ファラオは不思議な夢を見ます。それも二度です。
一つ目はやせ細った雌牛が、よく肥えた七頭の雌牛を食い尽くしたというもの。二つ目は実が入っていない干からびた七つの穂が、太って、実の入った七つの穂をのみ込んでしまったというものでした。エジプトの魔術師や賢者には、その意味がわかりませんでした。
6月 14創世記41916
 ヨセフはファラオに答えた。「わたしではありません。神がファラオの幸いについて告げられるのです。」
(創世記41章16節)
給仕役の長はファラオのそばにいました。ファラオの動揺や憤りも、間近で見ていたのでしょう。また魔術師や賢者たちがひっきりなしにやって来ては、首をかしげながら帰っていく様子も、彼は見ていました。
そのときに、給仕役の長は2年前の出来事をようやく思い出しました。自分が牢から出るときに、夢を解き明かしたヘブライ人の若者ヨセフがいたことを、思い出したのです。彼はそのときのことをファラオに申し出ました。
ファラオはすぐに、ヨセフを連れて来させます。長い間牢にいたヨセフですが、ひげをそられ、服も着替えさせられて、ファラオの元に連れていかれます。ヨセフは、夢を解き明かすのは自分ではなく、神さまなのだとファラオに伝えます。
6月 15創世記411724
 そして、実の入っていないその穂が、よく実った七つの穂をのみ込んでしまった。わたしは魔術師たちに話したが、その意味を告げうる者は一人もいなかった。」
(創世記41章24節)
ファラオは自分がどんな夢を見たのかを、ヨセフに話して聞かせます。もうすでに、何度も同じことを言っていたと思います。しかしそれでも、夢のことが気になって仕方がなかったようです。
というのも、夢は神さまからのメッセージだと考えられていたからです。そのメッセージを正しく受け取り行動しなければ、とんでもない過ちを犯すこともあるのです。だからファラオは、囚人であったヘブライ人の若者ヨセフにも、夢の内容を懇切丁寧に語りました。
わたしたちが見る夢は、その内容をすぐに忘れてしまうことが多いのですが、ファラオは詳しく鮮明に覚えていたようです。神さまからのメッセージだから、記憶の中にしっかりと残るのでしょうか。
6月 16創世記412536
 ヨセフはファラオに言った。「ファラオの夢は、どちらも同じ意味でございます。神がこれからなさろうとしていることを、ファラオにお告げになったのです。」
(創世記41章25節)
ファラオの夢の内容を聞いていたヨセフは言いました。「ファラオの夢は一つです」と。神さまは夢を通して同じことをファラオに伝えようとしている。しかもそれは決定事項で、速やかに実行されようとしているというのです。
その内容とは、今後7年間は大豊作が訪れるが、次の7年間に飢饉がやって来るというものでした。つまりこの先14年の出来事を預言したのです。(預言とは神さまからのメッセージを預かり、伝えることです)。
さらにヨセフは、ファラオに対してどのような対策を打つのが望ましいか、進言しました。神さまからのメッセージを無駄にしないように、どうしていくべきかを伝えます。そして言います。「聡明で知恵のある人物を見つけ、エジプトの国を治めさせたらいい」と。
6月 17創世記413757
 お前をわが宮廷の責任者とする。わが国民は皆、お前の命に従うであろう。ただ王位にあるということでだけ、わたしはお前の上に立つ。
(創世記41章40節)
ファラオはヨセフが自分の夢を見事に解き明かしたのを聞いて、「このように神の霊が宿っている人はほかにあるだろうか」と感心します。そしてヨセフを、エジプト全土を治める者とします。
わたしだったら8年目になって、「本当に大豊作のあとに飢饉が来たぞ」とようやく重い腰を上げ、ヨセフの話を信用しそうです。しかしファラオは当初からヨセフの言葉を完全に受け入れ、行動を起していきます。なかなか出来ることではありません。
豊作の間に、ヨセフには2人の子どもができます。イスラエル12部族の名前には、ヨセフは入っていません。ヨセフの息子であるマナセとエフライムがそれぞれ嗣業の地を受け継ぎます。ちなみにほかの兄弟の中で嗣業の地を与えられなかったのは、祭司職のレビです。
6月 18創世記4215
 イスラエルの息子たちは、他の人々に混じって穀物を買いに出かけた。カナン地方にも飢饉が襲っていたからである。
(創世記42章5節)
飢饉は激しさを増していきます。ヤコブとその息子たちが住むカナンの地も、例外ではありませんでした。彼らは家畜も飼っていましたので、飢饉の与える影響はたいそうひどかったことでしょう。
そのような中、ヤコブの耳に「エジプトに行けば穀物がある」という噂が入ってきます。ヨセフはエジプトの穀物を管理していました。神さまが夢で知らせたとおりに必ず飢饉がやってくる、そのことを信じて貯えていました。
ヤコブは息子たちにエジプトに行き、穀物を買うように命じます。ただしベニヤミンを除く10人で行くように言います。ベニヤミンはヨセフと同じ、ラケルによる子どもです。ヤコブはラケルを愛していました。だからベニヤミンを危険な目にあわせたくなかったのでしょう。
6月 19創世記42616
 ヨセフは、そのとき、かつて兄たちについて見た夢を思い起こした。ヨセフは彼らに言った。「お前たちは回し者だ。この国の手薄な所を探りに来たにちがいない。」
(創世記42章9節)
ヨセフはファラオに命じられ、エジプト全土を治めていました。穀物の管理もしていたようです。そこに自分の兄たちがそろってやって来ます。ヨセフはどのような気持ちで、兄たちを見ていたのでしょうか。
昔自分が見た夢の通りに彼らがひれ伏すのを見て、心の中で笑っていたでしょうか。なつかしさのあまり、涙が出そうだったでしょうか。それともエジプトに売られたことを思い出し、怒りに震えていたでしょうか。
今日の箇所を読む限り、ヨセフは怒っていたように感じます。兄たちに「回し者」という疑いを掛け、弟のベニヤミンを連れてくるように強く求めます。兄たちはうろたえました。しかしそれがヨセフであることに、誰一人気がつきませんでした。
6月 20創世記421728
 ほかの兄弟たちに言った。「戻されているぞ、わたしの銀が。ほら、わたしの袋の中に。」みんなの者は驚き、互いに震えながら言った。「これは一体、どういうことだ。神が我々になさったことは。」
(創世記42章28節)
ヨセフは兄たちを、三日間牢獄に入れました。ヨセフが牢に入れられていた期間からすると、わずかな時間かもしれません。しかし回し者だという疑いを掛けられた彼らにすると、生きた心地がしなかったでしょう。
ヨセフは兄たちに提案します。誰か一人を牢に留まらせて一番下の弟を連れてくるようにと。それを聞いた彼らは、ヨセフに対して犯した罪によってこの状況が生まれたと悟ります。そして「彼らの言葉」で言い合います。
その言葉は、ヨセフの耳にも届いていました。彼らの嘆きの声が聞こえ、ヨセフは涙を流します。ヨセフと兄たちとの間にあった溝が、少しだけ埋まった瞬間でした。

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