本文へスキップ


日ごとの聖書

ショートメッセージ ~2023年6月1日~10日

6月 1「創世記38111
 彼のしたことは主の意に反することであったので、彼もまた殺された。
(創世記38章10節)
ヨセフがエジプトに連れて行かれた後、38章にはまったく別の物語が入ります。ヤコブとレアの間に生まれた4番目の息子、ユダのお話しです。ただし39節以降の物語とは、時間的なつながりがおかしくなっています。この物語は後から挿入されたのでしょう。
ユダの長男エルは妻タマルを迎えましたが、彼は主の目に悪とされたので、子どもを設けないまま主によって殺されてしまいました。なぜ殺されたのかということはさておき、このような場合、子孫を残すために弟オナンが兄嫁をめとる必要がありました。(レビラート婚)
その場合子どもが生まれても、財産は弟ではなく生まれた子どものものとなります。そのためオナンは子孫を残さないようにし、結果、主に殺されてしまいます。ユダには三番目の息子シェラがいましたが、成人していないという理由でタマルをめとらせませんでした。
6月 2創世記381219
 タマルはやもめの着物を脱ぎ、ベールをかぶって身なりを変え、ティムナへ行く途中のエナイムの入り口に座った。シェラが成人したのに、自分がその妻にしてもらえない、と分かったからである。
(創世記38章14節)
夫に先立たれた人のことを、聖書では「やもめ」と呼びます。特に跡継ぎがいないやもめの場合、その立場は大変弱く、人の助けがなければ生きるのがとても困難だったようです。
妻を亡くしたユダは、三男シェラが成人しても、兄嫁であるタマルをめとらせようとはしませんでした。このままでは子孫を残すことができないと悟ったタマルは、驚くべき行動に出ます。
ユダはタマルを遊女だと思い込み、声を掛けます。ユダはタマルに渡す子山羊の保証として、印章と杖を預けます。そしてユダはタマルのところに入り、タマルは身ごもります。まったくタマルに気が付かないユダ。とても不思議な気がします。
6月 3創世記382026
 ユダは調べて言った。「わたしよりも彼女の方が正しい。わたしが彼女を息子のシェラに与えなかったからだ。」ユダは、再びタマルを知ることはなかった。
(創世記38章26節)
ユダは「代金」である子山羊をタマルに送ろうとします。保証の品として渡した、印章と杖を取り戻したかったということもあるでしょう。しかしユダがタマルと出会った場所には、そもそも神殿娼婦などいなかったそうです。
そんな時、タマルが身ごもったという知らせが、しゅうとであるユダの耳に入りました。売春は大罪です。男性の買春も変わらないとは思いますが、当時は女性しか罪に問われなかったようです。
タマルはユダの元に人を送って、彼の持ち物である印章と杖を確かめさせます。ここでユダは、自分が遊女だと思って入った女性がタマルであることを知るのです。タマルには子孫が出来たので、もうシェラを与える必要はなくなりました。
6月 4創世記382730
 ところがその子は手を引っ込めてしまい、もう一人の方が出てきたので、助産婦は言った。「なんとまあ、この子は人を出し抜いたりして。」そこで、この子はペレツ(出し抜き)と名付けられた。
(創世記38章29節)
タマルとペレツとゼラの名前は、マタイによる福音書1章にも出てきます。イエス様の系図の中に、彼らの名は入っているのです。タマルは系図の中に書かれた四人の女性のうちの一人でした。
タマルは遊女の恰好をし、義父であるユダの子を身ごもりました。倫理的には間違ったことかもしれません。しかし彼女の「子孫を残す」という強い決意が、結果的にイエス様の系図に結び付いたのです。
神さまはそのような人をも用いてくださることを、覚えていきたいと思います。イエス様は聖人君子の中に生まれたのではなく、わたしたち人間の様々な罪を抱えてお生まれになったのです。
6月 5創世記3916
 主がヨセフと共におられたので、彼はうまく事を運んだ。彼はエジプト人の主人の家にいた。
(創世記39章2節)
ヨセフの物語に戻ります。エジプトに連れて来られたヨセフは、ファラオ(古代エジプトの王)の役人であり、侍従長(新しい聖書では「親衛隊長」)のポティファルの元に連れて来られました。
ポティファルはヨセフを買い取ります。奴隷の売買は普通におこなわれていました。戦争によって奴隷になる人もいれば、借金のカタに奴隷になる人、また職業奴隷という人もいたそうです。
神さまはヨセフを祝福され、ポティファルの財産は豊かになっていきました。そのためポティファルは、すべてのものの管理をヨセフに任せていきます。しかし「好事魔多し」、ヨセフの身に危機が迫ります。
6月 6創世記39710
 彼女は毎日ヨセフに言い寄ったが、ヨセフは耳を貸さず、彼女の傍らに寝ることも、共にいることもしなかった。
(創世記39章10節)
「ヨセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」というミュージカルをご存じでしょうか。アンドリュー・ロイド・ウェバーとティム・ライスのコンビによるもので、DVDも発売されています。
そこに登場するポティファルの妻の、まあ妖艶なこと。若くて財産の管理を任されているヨセフを口説こうと、彼女は「わたしの床に入りなさい(新しい聖書では『私と寝なさい』)」と声を掛けます。
しかしヨセフにとって、主人の妻と共に寝ることは「神に対する罪」でした。また主人ポティファルを裏切ることにもなります。いくら主人の妻がその地位を利用して強要しても、ダメなものはダメだときっぱり断ることが大事なのです。
6月 7創世記391120
 そして、主人に同じことを語った。「あなたがわたしたちの所に連れて来た、あのヘブライ人の奴隷はわたしの所に来て、いたずらをしようとしたのです。」
(創世記39章17節)
侍従長(親衛隊長)の妻ともなれば、欲しいものは何でも手に入ったのでしょう。また自分が言ったことに対して歯向かう人など、いなかったのだと思います。しかしヨセフは、何度もポティファルの妻の求めを拒否します。
彼女は面目を潰されました。そしてヨセフを罠にかけて、貶めようとします。彼女はヨセフを誘ったときに彼の着物を掴み、話しませんでした。彼女の部屋から逃げるヨセフは、着物を取られてしまいました。
「襲われそうになった」と訴える妻の言うことを、ポティファルは鵜吞みにします。もしかするとこのようなことは、今回が初めてではなかったかもしれません。ポティファルはヨセフを監獄に入れる決断を下します。
6月 8創世記392123
 監守長は、ヨセフの手にゆだねたことには、一切目を配らなくてもよかった。主がヨセフと共におられ、ヨセフがすることを主がうまく計らわれたからである。
(創世記39章23節)
ポティファルの妻の企みによって、ヨセフは監獄(牢獄)に入れられます。まったくの冤罪ですが、侍従長の妻の訴えです。裁判などが開かれることもなく、ヨセフは囚人と同じ扱いを受けます。
しかし神さまはヨセフと共におられました。そのためヨセフがなすことは看守長の目に適い、ヨセフは監獄の中を取り仕切るようになります。自由に他の囚人とも会話が出来る立場になったのでしょう。
その結果、40章以降(明日以降)の物語が可能になっていきます。つまりヨセフは神さまの大きな計画の中で、監獄に入れられたと考えてもよいでしょう。神さまはこのように、わたしたちにはすぐに理解できない導きを与えられることがあるのです。
6月 9創世記40111
 「我々は夢を見たのだが、それを解き明かしてくれる人がいない」と二人は答えた。ヨセフは、「解き明かしは神がなさることではありませんか。どうかわたしに話してみてください」と言った。
(創世記40章8節)
ヨセフが入れられている監獄に、二人の人が入ってきました。エジプト王の給仕役の長(新しい聖書では「献酌官長」)と料理役の長です。彼らはエジプト王ファラオに対し、過ちを犯したそうです。その過ちの詳しい内容は書かれていません。
ただ王に対して怒りを買ってしまったわけですから、二人は震えながら毎日を過ごしていたことでしょう。そんなある日、二人は夢を見ました。聖書には夢を通して神さまがメッセージを与える場面が出てきます。今回もその一つです。
ヨセフは夢を見て顔色を悪くしている二人を見て、話を聞くことにしました。「説き明かしは神によること」であるとはっきり伝え、ヨセフはその夢の内容を聞いていきます。
6月 10創世記401215
 ついては、あなたがそのように幸せになられたときには、どうかわたしのことを思い出してください。わたしのためにファラオにわたしの身の上を話し、この家から出られるように取り計らってください。
(創世記40章14節)
最初に夢の内容を語ったのは、給仕役の長でした。ヨセフの説き明かしによると、彼の夢は良いことの知らせでした。彼は以前と同じ職に戻れるというものです。
ヨセフは給仕役の長に対し、説き明かし通りに元の職に戻ることができたら、自分のことをファラオに伝えて欲しいと頼みます。自分は無実の罪で牢に入れられていることを、ヨセフは力説します。
このやり取りを、もう一人の囚人である料理役の長はどのような思いて見ていたのでしょうか。自分もよい知らせが与えられるのではという希望を持ったのではないかと思います。しかし結果は…明日に続く。

バナースペース

勤務地:日本聖公会 奈良基督教会
 教会HPはこちら

〒630-8213
奈良市登大路町45

TEL 0742-22-3818

牧師:司祭マタイ古本靖久
副牧師:司祭エレナ古本みさ