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日ごとの聖書

ショートメッセージ 〜2023年4月21日〜31日

4月 21「創世記281017
 すると、彼は夢を見た。先端が天まで達する階段が地に向かって伸びており、しかも、神の御使いたちがそれを上ったり下ったりしていた。
(創世記28章12節)
「主よ みもとに近づかん」(聖歌519番)という歌があります。この歌はお葬式のときに使われることも多いのですが、聖歌集の中では「召命と旅」というカテゴリーに入れられています。
ヤコブはエサウの怒りが静まるまで、パダン・アラムのベトエルの元に向かいます。その「旅」の途中で、ヤコブは神さまから啓示が与えられ、「召命」を受けます。
「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない」との約束を、ヤコブは神さまから与えられるのです。
4月 22創世記281822
 わたしが記念碑として立てたこの石を神の家とし、すべて、あなたがわたしに与えられるものの十分の一をささげます。
(創世記28章22節)
夢で天に達する階段を神の使いが昇り降りしているのを見たヤコブは、そのとき枕にしていた石を柱として据え、油を注ぎます。ヤコブはその場所を「畏れ多い場所(新しい聖書では『恐ろしい所』)」と言います。
このころ人々は、神さまの顔を見ると死ぬと考え、また近くにおられることすら恐れていました。イエス様の「わたしはいつも共にいる」という約束を信じるわたしたちにとっては、少し違和感のあるところです。
彼がその場所に名付けた「ベテル」とは、「神の家」という意味です。彼はまた、自分に与えられるものの10分の1を神さまに献げるという誓願を立てました。よく教会で聞く十一献金とは、ここからきたものです。
4月 23創世記2918
 ふと見ると、野原に井戸があり、そのそばに羊が三つの群れになって伏していた。その井戸から羊の群れに、水を飲ませることになっていたからである。ところが、井戸の口の上には大きな石が載せてあった。
(創世記29章2節)
ヤコブは東の地の井戸に赴きました。そこで、ハランから来た人々と会いました、ハランはリベカの兄ラバンの住む場所です。彼らがハランから来たことを知ると、早速ヤコブはラバンのことについて尋ねます。
もうすぐラバンの娘がやって来ることを知ると、ヤコブは羊を飼う人たちに、「もう一度草を食べさせにいったらどうか」と提案します。ラバンの娘との出会いの場面に、彼らがいて欲しくなかったのでしょうか。
井戸には水を盗まれないように、石で蓋がしてありました。ラバンの娘が来たときに石を動かすことで、ポイントアップを狙ったのでしょうか。
4月 24創世記29914
 ヤコブはやがて、ラケルに、自分が彼女の父の甥に当たり、リベカの息子であることを打ち明けた。ラケルは走って行って、父に知らせた。
(創世記29章12節)
しばらくすると、ラバンの娘ラケルが羊を連れてやってきました。新共同訳では「彼女も羊を飼っていたからである」と訳されていましたが、新しい聖書では「彼女は羊の世話をしていた」と変わりました。羊はあくまでラバンの持ち物ですので、その方が正しいでしょう。
ヤコブは井戸の口から石を動かし、彼女が連れていた羊たちに水を飲ませます。ここまでは理解できますが、そのあとヤコブはラケルに口づけし、声を上げて泣きます。突然知らない男性が口づけしてきて泣きだしたら、パニックになりそうです。
社会的な習慣の違いも当然あるでしょう。ラケルが急いで父ラバンに知らせに行くと、ラバンは走って迎えに来ました。そしてヤコブを自宅へ招き入れます。血縁の強いつながりが感じられます。
4月 25創世記291520
 ヤコブはラケルを愛していたので、「下の娘のラケルをくださるなら、わたしは七年間あなたの所で働きます」と言った。
(創世記29章18節)
ラバンには、レアとラケルという二人の娘がいました。レアは雌牛という意味、ラケルは母牛という意味です。レアは優しい目をしており、ラケルは顔も美しく、容姿も優れていたそうです。
ヤコブは井戸で出会ったラケルに一目惚れだったのでしょう。ラバンのところに滞在した一か月の間に、その愛は強くなったのかもしれません。ラバンの下で働く報酬として、ラケルを妻に欲しいと願います。
ラケルの気持ちは聞かないの?と思いますが、当時は女性に相手を選ぶ権利はほとんどありませんでした。また身内に嫁がせることは良いこととされていたので、それほど抵抗もなかったでしょう。ヤコブは7年間、ラケルのために働きました。
4月 26創世記292135
 とにかく、この一週間の婚礼の祝いを済ませなさい。そうすれば、妹の方もお前に嫁がせよう。だがもう七年間、うちで働いてもらわねばならない。
(創世記29章27節)
今日の箇所は、理解しづらいところです。ラバンは約束通り7年働いたヤコブに対し、ラケルではなく姉のレアを与えました。暗がりだったので、ヤコブは騙されてしまったようです。
この場面は、目の見えないイサクを騙して祝福を得たヤコブ自身の姿と重なります。彼が長子の祝福を騙し得たように、ラバンはヤコブを騙し、長女レアを与えたのです。まさに、ブーメランです。
ヤコブはさらに7年間ラバンの下で働く約束をして、ラケルも妻に迎えました。姉妹二人とも、妻となったのです。しかし神さまは疎んじられているレアを顧み、レアはルベン、シメオン、レビ、ユダという4人の子を生みます。
4月 27創世記30115
 そのときラケルは、「姉と死に物狂いの争いをして(ニフタル)、ついに勝った」と言って、その名をナフタリと名付けた。
(創世記30章8節)
レアはヤコブの子を4人産みました。すると妹のラケルは姉を妬み、またヤコブに対し、「わたしに子どもをください」と訴えます。その言葉を聞いて、ラケルを愛していたヤコブもさすがに怒ります。赤ちゃんを授かるのは、神さまの恵みだと考えられていたからです。
そこでラケルは自分の召し使いビルハをヤコブの妻として差し出します。ビルハはダン、そしてナフタリを産みます。ところがレアも、自分の召し使いジルパをヤコブの妻として差し出し、ジルパはガドとアシェルを産みます。
こうなってくると、人物相関図なしには事態が呑み込めなくなってしまいます。今までのところでレア4人、ジルパ2人、ラケル0人、ビルハ2人というのが、それぞれの子どもの数です。なお新共同訳聖書には、それぞれの名前の由来が簡単に書かれています。
4月 28創世記301624
 彼女は、「主がわたしにもう一人男の子を加えてくださいますように(ヨセフ)」と願っていたので、その子をヨセフと名付けた。
(創世記30章24節)
昨日の箇所で、レアの息子ルベンは野原で恋なすびを見つけていました。恋なすびはマンドレイクという名の植物で、妊娠に効果があると信じられていました。ラケルは、それを分けて欲しいとレアに頼んでいました。
レアは、その日にヤコブと床を共にするという条件で、恋なすびをラケルに渡します。そしてレアは、さらに身ごもります。彼女はイッサカルとゼブルンという兄弟、そしてディナという女の子を産みます。これでレア7人(内1人女の子)となりました。
ようやくラケルにも、子どもが生まれることになります。恋なすびのおかげでしょうか。彼女は男の子の名を「ヨセフ」と付けます。ここまでの子どもの名前は、レアとラケルが付けてきました。聖書では子の名は父が付けることが多く、妻が付けることはほぼなかったにもかかわらずです。
4月 29創世記302536
 今日、わたしはあなたの群れを全部見回って、その中から、ぶちとまだらの羊をすべてと羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を取り出しておきますから、それをわたしの報酬にしてください。
(創世記30章32節)
ヤコブは生まれ故郷に帰して欲しいと、ラバンに求めます。ヤコブがラバンの下で働いている期間は少なくとも14年でした。その間、子どもも多く生まれ、家畜などの財産も増えていったようです。
そのことを知っているラバンは、ヤコブを手放したくありませんでした。ヤコブを通して神さまの祝福が与えられていることに、気づいていたのです。そこでラバンは報酬を支払うので、これまで通り働いてほしいと持ち掛けます。
ヤコブはその願いに応え、もう一度群れを飼い、世話をすることを約束します。そしてぶちとまだらなど、羊や山羊の一部を報酬としてもらいたいと提案します。ただし当時ぶちやまだらのものは、価値がないと思われていたようです。
4月 30創世記303743
 こうして、ヤコブはますます豊かになり、多くの家畜や男女の奴隷、それにらくだやろばなどを持つようになった。
(創世記30章43節)
ここに書かれていることは、何かおまじないのようにも見えます。神さまがこのようにしたらよいと、告げられたのかもしれません。ともかくヤコブは、自分の家畜を増やし、強くしていきました。
このように「賢く」振る舞うヤコブの姿は、エサウから祝福を奪ったときの姿と重なります。しかしそのような彼を、神さまは祝福されたのです。
彼は決められた手順を経て、ラバンからの報酬であるたくさんの家畜を手にしました。また奴隷も多く持つようになりました。しかしこのことをきっかけに、物語は次の展開に進んでいきます。

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