本文へスキップ


日ごとの聖書

ショートメッセージ 〜2023年4月11日〜20日

4月 11「創世記26714
 多くの羊や牛の群れ、それに多くの召し使いを持つようになると、ペリシテ人はイサクをねたむようになった。
(創世記26章14節)
20章には、アブラハムとサラがゲラルに滞在したときのことが書かれていました。そのときアブラハムは、サラのことを妹だと言います。そのためゲラルの王は、サラを召し入れました。そしてその結果、ゲラル王は神さまから死の予告をされました。
今回もイサクはリベカのことを、妹だと言います。なぜ素直に妻だと紹介しないのか、妻だと言ったら本当に殺されるのか、疑問が残ります。しかも今回はペリシテ王は過ちを犯す前に妻であることに気づき、神さまの怒りなどは出てきません。
その後イサクは神さまに祝福され、ゲラルの地で多くの収穫を得ます。しかし大変裕福になっていく居留者であるイサクのことを、ペリシテ人は快く思わなかったようです。
4月 12創世記261525
 イサクは、そこに祭壇を築き、主の御名を呼んで礼拝した。彼はそこに天幕を張り、イサクの僕たちは井戸を掘った。
(創世記26章25節)
乾燥地帯であったこの地域では、農業を生業としている人たちと遊牧民との間で、水をめぐる争いが頻発していたのでしょう。遊牧民は井戸を埋められると、他の土地を探さなければなりません。
イサクは生きていくために、強奪や徹底抗戦ではなく、退避を選んだようです。争いがおこらなくなるまで場所を変えて井戸を掘り続けた、そのように読むことができるからです。
そしてイサクは、ベエル・シェバに行きます。そこはイサクの父アブラハムが、ゲラルの王アビメレクと契約を交わした地でした。その契約も井戸(水)に関するものでした。またそのとき将軍ピコルも、アビメレクと共にいました。
4月 13創世記262635
 彼らは答えた。「主があなたと共におられることがよく分かったからです。そこで考えたのですが、我々はお互いに、つまり、我々とあなたとの間で誓約を交わし、あなたと契約を結びたいのです。」
(創世記26章28節)
ペリシテの王アビメレクと友人アフザト、そして将軍ピコルがイサクの元にやって来ました。イサクがいたベエル・シェバは、以前アブラハムが契約を結んだ場所です。
そのときの契約の相手は、ゲラルの王アビメレクと将軍ピコルでした。今回と同じ人物なのでしょうか。アビメレクはこの少し前に、裕福になるイサクを自分たちの近くから追い出していました。しかしさらに栄えていくイサクを見て、契約を結ぶべきだと考えたのです。
様々な民族が入り乱れる中、契約を結んでお互いに害を与えないことを約束することは重要なことだったでしょう。一緒に飲み食いすることで、その契約はさらに強固になっていきます。
4月 14創世記2714
 「わたしの好きなおいしい料理を作り、ここへ持って来てほしい。死ぬ前にそれを食べて、わたし自身の祝福をお前に与えたい。」
(創世記27章4節)
エサウとヤコブは、イサクが60歳のときの子どもでした。昨日の箇所に、エサウは40歳になって二人の妻を迎えたことが書かれています。つまりこのとき、イサクは少なくとも100歳になっていました。
年を取り、目がかすんできたイサクは、エサウを呼びます。それは彼を祝福するためでした。また自分が死ぬ前に、長子であるエサウに対して家督を譲ることも考えていたことでしょう。
しかしエサウは25章27〜34節で、食べ物と引き換えに長子の権利を弟ヤコブに売り渡していました。そのことを考えると、明日の箇所以降に起こる出来事はエサウが引き起こしたとも考えられるのです。
4月 15創世記27517
 母は言った。「わたしの子よ。そのときにはお母さんがその呪いを引き受けます。ただ、わたしの言うとおりに、行って取って来なさい。」
(創世記27章13節)
25章28節には、このように書いてありました。「イサクはエサウを愛した。狩りの獲物が好物だったからである。しかし、リベカはヤコブを愛した」。このことが、悲劇を招きます。
リベカはエサウを祝福しようとイサクが話しているのを聞きます。リベカはそれを聞いて、「いや、ヤコブが祝福されるべきだ」と思ったのでしょう。リベカはイサクをだまして祝福を受けるように、ヤコブを説得します。
リベカはヤコブにエサウの着物を着せ、子山羊の皮をヤコブの腕と首の滑らかなところにつけます。この徹底ぶりは、どうしてもヤコブに祝福を与えたいという強い気持ちからくるものです。長子の権利を軽んじたエサウとの違いが、浮き彫りになります。
4月 16創世記271829
 ヤコブが父イサクに近寄ると、イサクは彼に触りながら言った。「声はヤコブの声だが、腕はエサウの腕だ。」
(創世記27章22節)
年を取って目がかすんでいたイサクは、息子の顔が判別できないほど見えなくなっていました。声がエサウとは違うことには気づいたようですが、彼は手で触れた感覚の方を信用します。
このやり取りを読んで、七匹の子山羊を思い出したのはわたしだけではないでしょう。オオカミは腕や足に小麦粉を塗りたくりました。自分の容姿を他の人に見せかけて騙すという行為は、決してほめられたものではありませんが。
見事にイサクを騙し切ったヤコブは、祝福を受けました。ヤコブは後に神さまの使いと格闘しますが、そのときも祝福に対して強い執着心を持っていました。その思いを、もしかしたら神さまは評価しているのかもしれません。
4月 17創世記273040
 エサウは叫んだ。「彼をヤコブとは、よくも名付けたものだ。これで二度も、わたしの足を引っ張り(アーカブ)欺いた。あのときはわたしの長子の権利を奪い、今度はわたしの祝福を奪ってしまった。」エサウは続けて言った。「お父さんは、わたしのために祝福を残しておいてくれなかったのですか。」
(創世記27章36節)
エサウが獲物をしとめ、イサクの元に持って行ったときには、すでに祝福を受けたヤコブはイサクの前から出て行っていました。
イサクはヤコブに祝福を与えてしまったことに気づかされます。しかし一度ヤコブをエサウの主人と定めてしまった以上、それを覆すことはできません。
ただしエサウがヤコブに対して「あのときはわたしの長子の権利を奪い」と怒るのは、筋違いでしょう。エサウは食事欲しさに、長子の権利を軽んじました。その報いを受けたのかもしれません。
4月 18創世記274146
 エサウは、父がヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。そして、心の中で言った。「父の喪の日も遠くない。そのときがきたら、必ず弟のヤコブを殺してやる。」
(創世記27章41節)
エサウはヤコブの行為に対して、怒りを燃やします。エサウは父イサクが死んだら、そのときにヤコブも殺してしまおうと心の中で言います。しかしその思いは、母リベカに伝わります。きっと表情や行動からも、怒りがにじみ出ていたのでしょう。
母にとって、夫と息子を同時に亡くすことなど、考えたくもないことでした。そもそもこの時点で長子はヤコブであり、家督を継いで祝福されているのもヤコブです。
もしもエサウがヤコブに手を掛けたら、自分の主人を殺害することになり大問題です。しかし母リベカは兄の怒りが静まるまで身を避けるようにと伝えます。このリベカの偏愛もまた、家族をバラバラにした原因の一つなのでしょう。
4月 19創世記2815
 ここをたって、パダン・アラムのベトエルおじいさんの家に行き、そこでラバン伯父さんの娘の中から結婚相手を見つけなさい。
(創世記28章2節)
大河ドラマを見る時に人物相関図は手放せませんが、旧約聖書ではさらにいとこ同士の結婚などもあり、作っておくと便利です。ベトエルはヤコブの母であるリベカの父、ラバンはリベカの兄です。
イサクがリベカと結婚したときも、アブラハムは自分の生まれ故郷でイサクの妻を探しました。同じようにイサクはヤコブにも、カナン人以外の女性を妻にするように言います。カナン人はいわゆる異邦人です。
この背後には、エサウの怒りが収まるまで身を隠すという目的がありました。しかしそれと同時に、同胞の中から妻を迎え、血を混ぜないということが彼らの中ではとても大切なことでした。
4月 20創世記2869
 エサウは、カナンの娘たちが父イサクの気に入らないことを知って、イシュマエルのところへ行き、既にいる妻のほかにもう一人、アブラハムの息子イシュマエルの娘で、ネバヨトの妹に当たるマハラトを妻とした。
(創世記28章8〜9節)
エサウは40歳のとき、カナンの女性であるヘト人の妻を二人迎えていました。しかしその妻は、イサクとリベカにとって心の痛みとなっていたようです。
エサウのこのような行動が、神さまの目には良く映らなかったのでしょう。長子の権利も、民族としてのアイデンティティも、ないがしろにしていると思われても仕方ありません。
そこでエサウは、同胞の中からもう一人妻を迎えます。イサクの異母兄弟であるイシュマエルの娘マハラトです。彼女の名は、25章12〜18節の「イシュマエルの系図」には出てきません。兄のネバヨトが出てくるだけです。女性は系図には載せられないのです。

バナースペース

勤務地:日本聖公会 奈良基督教会
 教会HPはこちら

〒630-8213
奈良市登大路町45

TEL 0742-22-3818

牧師:司祭マタイ古本靖久
副牧師:司祭エレナ古本みさ